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専門記述最新問題の分析⑦最終回(ロー生のための民訴&刑法)

こんにちは、この専門記述最新問題の分析シリーズもいよいよ最終回になりました。感慨深いです。今までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。


さて、憲法、行政法、民法に関しては過去の記事でやり尽くしましたので、今回は国家公務員総合職の院卒・行政区分を受験される方用の記事を書いてみたいと思います。主にロースクール修了生向けですね。


院卒・行政区分は本当に情報が少なくて困っている人が多いのではないかと思います。私もロースクールの友人でこの試験を受験している人はいなかったので、色々不安でした。ですので、最後は2次試験を直前に控えているロー生の方に有益な情報提供をしたいと思います。


なお今回取り上げるのは専門記述についてですが、政策課題討議について知りたいという方は、以前に詳細な記事を書きましたので、そちらを参考にして頂ければ幸いです。こちらは、ロー生や行政区分に限らず、院卒区分受験者全体や教養区分を対象とした記事です


→過去の記事はコチラ
 ・政策課題討議の攻略法(前編)
 ・政策課題討議の攻略法(後編)



それでは、専門記述の話に戻ります。


ロー生は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法の6科目から3科目選択できます。


個人的にオススメなのは、民法、民事訴訟法、刑法です。司法試験に向けて勉強してきた方にとって、非常に相性が良いからです。私自身はこの3つを選択しました。


このうち、民事訴訟法、刑法は特に司法試験との相性が良いです。私は、民訴は「基本演習民事訴訟法」を、刑法では「刑法事例演習教材」を使っていました。これらの教材で取り上げられたものと良く似た事例が平成26年の試験でも出題されたので、比較的に解きやすかったと思います。


実際に今年の国家総合職院卒行政区分の試験委員は、民訴法で笠井正俊先生が、刑法で橋爪隆先生が名を連ねていらっしゃいます。お二人とも、上記の問題集の著者ですね。


この2つはロー生にとって非常にメジャーな問題集なので、多くの方が利用していらっしゃると思います。ですので、民訴と刑法はロー生の皆さんの実力を存分に発揮できるのではないかと思います。



逆に一番相性が悪いのは憲法だと思います。出題内容が司法試験とかなり違うので。



刑法は一点だけ懸念があるのですが、刑法は80分で解くにはややきついかもしれません。実際に各法律科目の答案を書いてみたところ、行政法や民訴法は1500字くらいで書けますが、刑法はコンパクトに書いても2500字を超えました。書く早さや処理スピードに不安がある場合は、他の科目を選択した方がいいかもしれませんね。



あと、誤解しているロー生が多いので指摘しておきたいのですが、専門記述はシャーペンか鉛筆で書きます。ボールペンは使えません。ですので、書くスピードは落ちる、消しゴムで消さなきゃいけない、書いててすごく違和感を感じる、などといったことになるので、注意が必要です。笑い話で済めばいいのですが、実際に私が本番で見た受験生で、ボールペンを使い、横線や斜線を引いて訂正している人がいました。


また六法の配布もありません。これは皆さんにとって非常にストレスだと思います。よく「条文の引用って必要ですか?」といった質問を受けるのですが、六法を配布されないということは、条文の引用まで要求されないということなんじゃないか、というのが私個人としての意見です。



それでは、最後に民訴法と刑法の答案だけ載せておきます。多少なりとも、本番のイメージが掴めると思いますので。あくまで一受験生が作ったものに過ぎないことを前提に、参考にしていただければ幸いです。添削とか受けていないので、誤りや不明確な部分が所々あるかもしれませんがよろしくお願いします。


なお問題文については人事院HPから見ることができます。
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/mondairei/11_11_2.pdf


それでは、答案に移ります。



平成26年国家総合職専門記述(民事訴訟法)

設問1

1 本件で裁判所がいかなる主文の判決を下すかは、Yに当事者適格が認められるか否かによって決定する。すなわち、当事者適格が認められない場合は訴訟要件が欠けているため、訴えが不適法であるとして訴訟判決(訴え却下判決)を下すべきとなる。他方、認められる場合は訴訟要件を充足するので請求の当否について判断され、本案判決(本件では、Yの乙建物所有による甲土地占有が認められないため、請求棄却判決)が下されることとなる。

2 そこで、Yの被告適格の有無につき検討する。
そもそも当事者適格とは、訴訟物との関係で、自ら当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めうる資格をいう。
そして、本件訴訟物は、XのYに対する甲土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求権である。かかる給付の訴えにおいては、原則として、その義務者であると原告から主張された者に当事者適格のうち、被告適格が認められる。

3 そうすると、Yが乙建物を所有して甲土地を占有していないということは、当事者適格の判断に影響を及ぼすものではない。Xに義務者であると主張されているYに被告適格が認められる。

4 したがって、裁判所は本案判決を下すべきとなり、具体的には「Yは乙建物を収去して、甲土地をXに明け渡せ」といった主文の請求認容判決を下すべきである。


設問2
1 小問(1)
Zの本件主張は、Xの請求原因事実(Xの甲土地所有)と両立する事実で、訴訟物である権利の存在を否定する抗弁事実である。本件ではYは期日に出席していないため、かかる事実を援用していないが、かかる場合も、Zの本件主張について、裁判所はXのYに対する請求について判断する際に、訴訟資料として用いることができるかが問題となる。

(1) まず、Zに引受承継(民訴法50条1項、51条後段)がなされ、かつYは訴訟脱退(50条3項、48条)していないことから、X、Y、Zの三者は同時審判申出共同訴訟の当事者たる関係に立つ。

(2) そして、同時審判申出共同訴訟は本来別個に解決される複数の事件が、便宜上1つの手続に併合されたものに過ぎない通常共同訴訟である。
かかる訴訟の性質上、共同訴訟人各自に独立の訴訟手続を保障するべきという手続保障の観点から、共同訴訟人独立の原則(共同訴訟人の1人の訴訟行為、共同訴訟人の1人に対する訴訟行為、共同訴訟人の1人について生じた事由は原則として他の共同訴訟人に影響を及ぼさない(39条))が及ぶ。
そうすると、共同訴訟人の1人による事実主張は、他方の共同訴訟人の援用がない限り、他の共同訴訟人についての訴訟資料とすることはできない。

(3) ここで、Zの本件主張は、Yにとっても抗弁事実として働くものである。このように共同訴訟人同士の利害関係が共通する主張については、援用がなくても訴訟資料に用いることができるとの見解も考えられる(当然の補助参加理論)
しかし、何をもって共通の利害関係があるか明確な基準を欠き、訴訟を混乱させるおそれがあるため、かかる見解は採用できない。

(4) 以上により、Zの本件主張について、裁判所はXのYに対する請求について判断する際に、Yの援用なく訴訟資料として用いることができないため、何らかの影響を及ぼすものではない。

2 小問(2)
本件では、Xの甲土地所有とYの乙建物所有による甲土地占有といったXのYに対する請求における請求原因事実が認められている。そして、一物一権主義の下、XのY、Zに対する各請求は実体法上両立し得ないから、裁判所としてはXのYに対する請求を認容し、Zに対する請求を棄却するのが原則となる。
もっとも、Yの乙建物所有による甲土地占有の事実の立証に用いられた証拠資料はXZ間の訴訟の中でZの提出した写真によって得られたものである。そこで、一方の共同訴訟人が提出した証拠方法によって得られた証拠資料は、他方の共同訴訟人との関係でも証拠資料となるかが問題となる。

(1) 共同訴訟人独立の原則の例外として、裁判所は、自由心証主義(247条)に基づいて、共同訴訟人の1人が提出した証拠方法から得られた資料は、援用の有無にかかわらず、他の共同訴訟人についての証拠資料とすることができる(証拠共通の原則)。
よって、本件でも、Zの提出した写真によって得られた資料は、Yとの関係でも証拠資料とされる。

(2) かく解しても、弁論が併合されていることから、YはZによって提出された書証について意見を述べることで裁判所が自らにとって有利な心証を形成するよう働きかける機会があったといえ、Yの手続保障を害する結果とはならない。

(3)以上により、原則どおり、裁判所としてはXのYに対する請求を認容し、Zに対する請求を棄却する裁判をすべきである。

以上(1916字)


平成26年国家総合職専門記述(刑法)

第1 Xの罪責
1 Yの氏名等を用いた入居申込書用紙を作成した行為
有印私文書偽造罪(159条1項)が成立しないか。

(1) まず、上記用紙は賃貸借の申込みといった実社会生活上の交渉を有する事項を証明するものであることから、事実証明に関する文書である。

(2) 次に、Xは上記用紙にYの氏名等を記載したことから、名義人と作成者の同一性を偽っているといえるため、他人であるYの書名を用いた偽造が認められる。

(3) 次に、XはBと賃貸借締約を締結するために偽造を行っており、「行使の目的」も認められる。

(4) よって、有印私文書偽造罪が成立する。

2 Yの氏名等を用いた入居申込書用紙を不動産業者であるAに交付した行為

(1) かかる行為につき、Bに対する詐欺利得罪(刑法(以下、省略する。)246条2項)が成立しないか。
ア まず、賃貸借契約は当事者の信頼関係を本質とすることから、賃借人となる者が誰であるかは契約の重要な要素であるところ、Xが本件賃貸借契約の入居申込書用紙に、別人であるYの氏名等を記載した行為は、契約の重要な要素を偽るものであり、欺罔行為に当たる。

イ 次に、Xの欺罔行為が起因となって上記用紙がAから送付された結果、BはXを、指名手配中のXとは別人のYであると信じ、Xに本件アパートの賃借を認めたことから、錯誤に基づく処分行為があったと認められる。

ウ 次に、Xは、本来Bに許容されなかったはずの、本件アパートの賃借を受けて使用収益を得るといった、財産上不法の利益を得ている。

エ 次に、詐欺罪の保護法益は個別財産に対する損害であるところ、Xは賃料を支払っているとはいえ、BがXに本件アパートの使用収益を許容すること自体が、個別財産に対する損害といえるので、損害の要件も充たす。

オ 以上により、Xは詐欺利得罪の構成要件を充足するため、同罪が成立する。

(2) さらに、有印文書行使罪(161条1項)が成立しないか問題となるところ、XがA、Bに見せるために不動産業者であるAに上記用紙を交付する行為は、Yが書いた真正な内容のものとして認識させるものといえ、行使に当たるので、同行使罪が成立する。

3 医師D名義の処方せんを作成した行為
有印私文書偽造罪が成立しないか。

(1) 医師の処方せんは、医師の薬剤師が患者に交付すべき薬に関する指示が書かれたものであるから、実社会生活上の交渉を有する事項を証明するものといえ、事実証明に関する文書である。

(2) 次に、処方せんは、通常医師でなければ作成し得ない書面であるところ、Xが別人である医師Dの名義で処方せんを作成したことは、名義人と作成者の同一性を偽っているといえるため、他人であるDの書名を用いた偽造が認められる。

(3) 次に、Xは、薬剤師FからPを販売してもらうために、偽造を行っており。「行使の目的」も 認められる。

(4) よって、有印私文書偽造罪が成立する。

4 処方せんをFに提示した行為

(1) かかる行為につき、Fに対する詐欺罪(246条1項)が成立しないか。

ア まず、薬剤師にとって、処方箋が医師によって作成されたものでなければ通常処方せんに従って薬を交付することはないことから、上記行為は医師によって作成された処方せんではないという重要な事実を偽るものといえ、欺罔行為に当たる。

イ 次に、かかる欺罔行為により、Fは処方せんが医師であるDによって作成されたと信じ、Pを交付したことから、錯誤に基づく処分行為があったと認められる。

ウ 次に、Fは、医師の処方せんがなければPを販売することのなかったことから、Pの交付自体が個別財産に対する損害に当たる。

エ 以上により、Xは詐欺罪の構成要件を充足するため、同罪が成立する。

(2) さらに、有印文書行使罪(161条1項)が成立しないか問題となるところ、上記行為は、医師Dが書いた真正な内容のものとして認識させるものといえ、行使に当たるので、同罪が成立する。

5 Yから受け取った10万円を費消する行為
単純横領罪(252条1項)が成立しないか。

(1) 当該10万円はPを購入することをYから委託されて預かったものといえ、自己の占有する他人の物の要件を充たす。
この点、当該10万円はXによる、Fに対する詐欺罪等を実現するために交付されたもので、不法原因給付物に当たり、Yに返還請求権がない(民法708条)ため、上記要件を充足しないとも考えられる。しかし、横領罪を含め刑法上の財産犯は、財産法秩序が不法手段によって撹乱されることを予防して、正当な財産権を保護するために規定されたことから、民法上保護に値しない財産権に対する侵害であっても、不法手段を用いて財産法秩序を撹乱する行為から保護すべき財物の範囲は広く解するべきといえ、かかる見解は妥当しない。

(2) 次に、Xが当該10万円を遊興費として使うことは、委託の趣旨に背いて所有者しかなしえない処分をする意思を実現するものであるといえ、横領に当たる。

(3) そして、本件ではXの費消により、Yに10万円の損害が生じているため、構成要件をすべて充たし、同罪が成立する。

6 虚偽の事実を述べて10万円の返却を免れた行為
Yに対する詐欺利得罪が成立しないか。

(1) まず、P購入の代金を提供したYにとって、処方せんの偽造がばれたと告げられれば、返却をあきらめるのが通常であることから、代金支払い後に薬剤師にばれたなどと告げたXの行為は欺罔行為に当たる。

(2) 次に、YはXの言動を信じ、10万円の返却をあきらめているから、錯誤に基づく処分行為があったと認められる。

(3) 次に、Yには返還請求権がないため、Xが財産上不法の利益を得たという要件を充たすが問題となるが、先述したように返還請求権のない財物であっても刑法上の保護を図るべきであるから、同要件を充足すると解する。
またYには10万円について、損害があったと観念できる。

(4) よって、Xは詐欺利得罪の構成要件を充足するため、同罪が成立する。

7 罪数
入居申込書用紙に関する、①私文書偽造罪、②同行使罪、③Bに対する詐欺利得罪と、処方せんに関する④私文書偽造罪、⑤同行使罪、⑥F対する詐欺罪と、Yに対する⑧横領罪、⑨詐欺利得罪が成立する。②、③と⑤、⑥は自然的観察の下、1個の行為なので観念的競合(54条1項)として、一罪となり、さらに①は、②、③と、④は⑤、⑥と手段・目的の関係となるので牽連犯となるので、それぞれ一罪として扱われる。①~③と④~⑥と⑦と⑧の四罪が併合罪(45条後段)の関係となる。

第2 Yの罪責
②、③につき、幇助(62条1項)が成立しないか問題となるところ、YはXに対し入居申込書用紙に自己の氏名等名義を使用することを勧め、住民票の手配もしていることから、Xの当該犯行を物理的、心理的に容易にしたといえ、同罪の幇助犯が成立する。

以上(2738字)


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