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専門記述最新問題の分析③憲法(問題解説編)

こんにちは,アドバイザーの岡です。今日は2014年の国家総合職2次専門記述の憲法を取り上げたいと思います。

まず,問題文の紹介からですね。

【2014年】
参議院議員の選出方法については,その発足時から様々な構想があった。現在の参議院議員選挙制度は,全都道府県の区域を通じて選出する,非拘束名簿式の比例代表制(定員96名)と,各都道府県を選挙区として2人ないし10人を選出する選挙区制(定員146名)とを採用している。比例代表選挙と選挙区選挙との組合せという点では,衆議院議員の選出方法と類似した制度となっている。そこで参議院は,国会全体としてより多角的に民意を反映させることを目的として,衆議院とは抜本的に異なった議員の選出方法を検討する専門委員会を設置した,と仮定する。同委員会が検討した多くの案の中には,次に骨子を示す三つの案も含まれていた。

【A案】現行の非拘束名簿式比例代表選挙を廃止した上で,参議院を都道府県代表の議員から成る議院という性格に純化させ,かつ各都道府県の対等性を確保するために,各都道府県を選挙区として,それぞれ4名の議員を選出することとする。

【B案】我が国の政治分野における女性の参画状況は,国際的に見て後れている。そこで,男女共同参画社会の実現の象徴及び原動力としての役割を期待して,A案を前提とした上で,さらに,各都道府県の選出議員を男女各2名とする。3年ごとの選挙で選出される議員の数も,各都道府県につき男女各1名とする。

【C案】現行の非拘束名簿式比例代表選挙に替わり,かつて採用されていた全国を一選挙区とし,候補者個人名で投票する全国区制を再導入する。選挙区選挙は廃止し,議員は全て全国区選挙により選出されることとする。その上で,参議院は「良識の府」,「理性の府」であることが期待されていることに照らし,参議院議長の下に,有識者から成る候補者推薦委員会を設置し,全国区選挙の定員の3倍数の,見識ある候補者を推薦することとする。選挙には,被推薦者以外は立候補することができない。

しかしながら,これらA,B及びC案には,政策的な当否以前に,いずれも憲法上の疑義があるとの意見が出された。A,B及びC案のそれぞれに向けられた憲法上の疑義はいかなるものかをまず想定し,次にその疑義に対する提案者側からの憲法上の反論を示した上で,あなたの見解を述べなさい。なお,C案については,候補者推薦委員会の組織的な位置付けや委員の構成等に関しては,論ずる必要はない。


はい,かなり難しい問題だと思います。行政法や民法と違い,条文や判例から素直に解答が導けるような問題ではないと思うので,出題者の意図が非常に読みにくいです。そこではじめに断っておきたいのですが,今回の記事はあくまで私がテキストに書いてあるような知識から導き出した私見のみ述べることにしたいと思います。今回の問題は,色んな答えが導き出せると思いますので,あくまで一受験者の私見に過ぎないことを前提に,記事をご覧に頂ければ幸いです

さて,問題の解説に移ります。今回は憲法ということで,若干難しい話にも言及する必要があるため【基本】と【応用】に分けてお話したいと思います。初学者の方は【基本】の所だけご覧に頂ければ幸いです。【応用】の所は,暇があったら読んでいただけるくらいで結構なので,どんどん読み飛ばしちゃってください

ではまず,A案について見ていきましょう。

【基本】

まず,A案の最も重要な問題点は,「各都道府県を選挙区として,それぞれ4名の議員を選出すること」とされている部分です。東京都でも鳥取県でも,4名の議員を選出することとされているんですね。東京都の人口って鳥取県の20倍以上あるわけですよ。それなのに,どちらも4名の議員を選出することされてしまったら,例えば東京都第○区と鳥取県第○区の有権者の一票の格差が著しく拡がるといった事態が生じることは避けられないはずです。そこで,本問は「投票価値の平等」の論点が問題になると思われます。

ここから,A案の憲法上の疑義が浮かび上がります。
まとめると,

憲法上の疑義
憲法は,選挙権の内容の平等,すなわち投票価値の平等を要求していると解される(14条1項,15条1項,3項,44条但書)。とすれば,各選挙区の議員定数は人口に比例して定められるべきことになるところ,A案は各都道府県から4名の議員を選出するものであり,人口比例の要請を無視するものであるから,投票価値の平等に反し,違憲である可能性がある。


これに対し,「提案者側からの憲法上の反論」としてどのようなものが考えられるか検討してみます。


憲法は,国会両議院の議員の選挙について,議員の定数,選挙区,投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(43条,47条),どのような選挙の制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国会に反映させることになるかの決定を,国会の広い裁量に委ねています。

つまり,選挙制度のルール作りについては国会に広範な立法裁量が及ぶことが43,47条によって認められているわけですね。そうすると提案者側は,参議院の都道府県代表としての性格を強調し,さらに都道府県の対等性を確保するためにA案のような制度を構築することも,かかる裁量権の範囲内として許容される,などと反論することが想定されます。

この反論の是非について検討してみます。

参議院の場合,判例上,最大較差が約5倍以上で,違憲状態との判断がされています(最大判平成24年10月17日)

※近時出された最大判平26.11.26については,受験時にはまだなかったので、今回は参考対象から外しています。

そうすると,各都道府県の有権者数や人口を考慮しないで4名ずつ定数を配分すれば,先述したように,最大較差が5倍以上になるどころか,むしろ較差を著しく拡大させることがほぼ確実となります。よって,A案の下で選挙を実施した場合,国会の裁量権を逸脱したものとして,違憲無効となると解される,と再反論することができると考えられます。


【応用】

ここでは,提案者側の反論とこれに対する再反論について,参考となる判例を参照しながらさらに詳しく検討してみます。

判例の基本的な考え方としては

①投票価値の平等を選挙制度の仕組みの決定における唯一,絶対の基準としているものではなく,国会は,正当に考慮することのできる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであり,その裁量権の行使として合理性を是認しうるものである限り,それによって投票価値の平等が損なわれることとなっても違憲とならない

②(ア)不断に生ずる人口変動の結果,投票価値の著しい不平等状態が生じ

かつ,

(イ)それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,当該議員定数配分規定が憲法に違反すると解するのが相当である。


参議院議員選挙については,憲法が二院制を採用した趣旨から,選挙区選出議員について地方代表的性格を持たせている点,半数改選制を採用した趣旨から,各選挙区に偶数により定数配分を行うこととしている点についてはそれぞれ合理的である。

と,こんな感じです。

①については,要するに,公正かつ効果的な代表を選出することが最重要目的であり,投票価値の平等は,立法府の選挙制度構築における重要な考慮要素だけど,絶対的に実現されなければならないものではない,ということだと思います。

②については,選挙が違憲と判断されるための要件です。(ア)を充たせば違憲状態となり,(イ)をも充たしてはじめて違憲となります。

③については,参議院が置かれた趣旨は衆議院と異なる機能を発揮させるためであり,その趣旨からすれば参議院議員に地域代表的性格を持たせることも不合理ではない。だから都道府県単位の選挙を実施することも合理性がある。しかも,そのような趣旨からすれば,半数改選というやり方も合理的だ,ということだと思います。

参議院の衆議院とは異なる機能を持たせる点,また半数改選制度が合理的である点については,どういうことかというと,衆議院は解散制度の存在もあって,その時その時のタイムリーな民意が国政に反映されやすいといえます。これに対して,参議院は解散制度がなく,任期も6年と長いため,長期的な視点で国政を判断できます。しかも,半数改選ですから,衆議院と違って,議員がまるっと全部入れ替わることがないんですね。3年毎に半分ずつ入れ替わります。そうすればタイムリーな民意がダイレクトに反映されて議員の総意が急激に変化する,なんてことは起こりにくいですね。

そこで,わざわざ憲法が二院制を採用したのは,参議院に衆議院と異なる機能を持たせるためにあるのだから,都道府県単位の半数改選制度を採用するのは合理的だとされていたのです。

でも,そうするとどうなるか?各都道府県に対して,偶数で定数配分しないといけません。簡単な例でいうと,人口100人のA県に議員の定数を2議席配分した場合に,人口150人のB県に3議席配分するということはできないんですね。2議席か4議席,あるいはもっと大きい数の偶数の議席を当てなければなりません。そうすると,A県とB県の間に格差が生じやすくなるのです(※ちなみに、「格差」と「較差」の使い分けは私もよくわかってないのですが、投票価値が○対○という時のように最大と最小を比較するときは「較差」というものと思っています)。

定数を全都道府県単位で偶数で配分することとなると,さらに較差が拡大します。だから,投票価値の平等に重きを置いた場合,この制度は好ましくないものなんです。ですが,先ほど述べたように,以前までは,参議院に独自の機能を持たせるための合理的制度だから,投票価値の平等が一定程度損なわれても仕方がないとされていたんです。

ここまでが従来の判例の判断枠組みです。これを前提に提案者側の反論をうんとコンパクトにまとめてみると,以下のようになると思います。

憲法は,どのような選挙制度が国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることになるかの決定を国会の裁量に委ねている(43条,47条)のであるから,投票価値の平等は,他の政策的目的との関連において調和的に実現されるべきものであるところ,A案は参議院が各都道府県の意見を公正平等に国政に反映させる機能を持たせる政策的目的によるものであり,憲法が二院制を採用した趣旨に資するものであるから,裁量権の範囲内として許容される。

さて,上記のような判例の流れに対し,近時変化が見られるようになりました。

まず,平成21年に,「本件選挙当時の選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差は1対4.86という・・・較差は,投票価値の平等という観点からは,なお大きな不平等が存する状態であり,選挙区間における選挙人の投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあるといわざるを得ない。国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり,投票価値の平等が憲法上の要請であることにかんがみると,国会において,速やかに,投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて,適切な検討が行われることが望まれる。」と判示しました(最大判平21.9.30)。

つまり,裁判所は,投票価値の平等の重要性を十分に踏まえて,立法府に対し,投票価値の較差の縮小に向けた選挙制度改正を求めているんですね。この時点の選挙制度でもある程度は各選挙区の人口を考慮して定数配分をしているんですけども,不十分だと判断しているわけです。

上記②の要件に当てはめると,

(ア)投票価値の著しい不平等状態が生じていることの要件は充たしているが

(イ)それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが,国会の裁量権の限界を超えると判断されるとまでは至っていないから(イ)は充たさない。

でも早く投票価値の較差の縮小に向けた選挙制度改正をしないと,(イ)を充たすものとして違憲と判断しちゃうよ,とほのめかしているわけです。

さらに,最高裁判所は立法府に対して,「都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる前記の不平等状態を解消する必要がある。」
と明言しました(最大判平24.10.17)。つまり,都道府県単位選挙自体の見直しを求めており,早く見直さないと(イ)の要件を充たすとして違憲にするかもよ,といっているわけです。都道府県単位選挙を維持すること自体,もはや苦しくなってきているわけです。

このような状況の中でA案が採用されたらどうなるでしょう?

A案は都道府県単位の選挙制度を維持するだけでなく,しかも人口比例すら放棄してしまうわけですから,司法の判断を完全無視するどころか,完全に真逆のことをすることになるわけです。そうすれば,(イ)の要件まで充たすことになり,A案の下で実施された選挙は違憲と判断される可能性が極めて高いということになるのです。


続いて,B案です。

【基本】
そもそも,A案が違憲なのだから,各都道府県から4名を選出するA案を前提とするB案も違憲となるはずです。もっともこれだけだと,設問の意味がないので,別の憲法上の疑義を考えてみます。

ここは色んな考え方ができると思うのですが,個人的には,男性の立候補者数が女性の立候補者数よりはるかに多いことから,各都道府県の選出議員が男女各2名ずつとされてしまうと,男性の立候補者は男性であるという「性別」を理由に,女性の立候補者に比べて,選出されにくくなるという差別的取扱い(以下,「本件区別」といいます。)があるとして,平等原則(14条1項,44条但書)違反の有無を検討するのが良いと思います。

※もちろん女性候補者が不利益を受ける場合もあると思いますが,男性候補者数の方が多く,男性候補者の不利に働く場面が多いと思いと思うので,上記のような問題点にしたいと思います。

他にも,B案の下では,選出議員となった候補者を上回る得票数の候補者が,性別枠を理由に選出されなくなるという事態を招き,立候補の自由または投票の自由を侵害するという憲法上の疑義も考えられるところですが,今回は平等原則違反についてのみ検討します。

提案者側としては以下の反論を行うことが想定されます。

→「平等」とは,事実上の差異を無視した形式的取扱いを行えば妥当な結論を導くことができないことから,合理的区別は許容される。

そして,B案は政治分野における女性の参画を促進する目的実現のために有効な手段であり,選挙制度構築,議員や選挙人の資格に関する立法府の広範な裁量権(43条,44条本文,47条)を考慮すれば,なお合理的区別の範囲内といえる。


では,この反論を前提に検討を進めていきます。本問は,平等原則違反の問題ですので,合憲性判定基準を定立してみます。
基準を緩やかに解する要素としては,広範な立法裁量が及ぶ事項であること,積極的差別是正措置(アファーマティブアクション)の問題であること,などが挙げられます。

基準を厳格に解する要素としては,本件区別による不利益の対象は立候補の自由といった憲法上保障された重要な人権に関するものであること,「性別」という,14条後段列挙事由に基づく差別であること,あるいは「性別」という自らの意思や努力では克服できない事柄を区別指標とすること,などが挙げられます。

このような考慮要素を踏まえて基準を定立し,あてはめを行った上で,提案者の反論するように,合理的区別の範囲内か,合理的区別とは認められず違憲か,を判断するべきだと考えられます。

【応用】
私見ですが,本問の分析においては,国籍法違憲判決が参考になると思います。参考になる箇所を引用します。
「憲法10条は,「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」と規定し,これを受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,これをどのように定めるかについて,立法府の裁量判断にゆだねる趣旨のものであると解される。しかしながら,このようにして定められた日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が,合理的理由のない差別的取扱いとなるときは,憲法14条1項違反の問題を生ずることはいうまでもない。すなわち,立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。
 日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。」

この判決のポイントは次の2点です。

立法裁量が広範に及ぶ場面であること(基準を緩やかに解する要素)。


差別的取扱いによって不利益を受ける事項が,重要な法的地位に関わるものであること,区別指標が自らの意思や努力によっては変えることのできない事柄であること(基準を厳格に解する要素)


の2点を理由に,合理的区別か否かを慎重に検討するべきであることしました。




このⅠ,Ⅱのポイントの点で,B案についてみてみると

先述のとおり,選挙制度構築の場面であるから,広範な立法裁量が及ぶ場面であること(基準を緩やかに解する要素)。

差別的取扱いによって不利益を受ける事項は,立候補の自由という,選挙権と同様,国民の国政への参加を保障する重要な権利であるし,「性別」という区別指標は,自分の意思や努力によって変更しえない事柄である(基準を厳格に解する要素)。



といえるので,上記判決の場合と基準を緩やかに解する要素,基準を厳格に解する要素が類似しているといえ,合理的区別か否かを慎重に検討するべきであると解していいと思われます。

「合理的区別か否かを慎重に検討するべき」って具体的にどういうこと?って疑問がわくと思いますが,同判決において,泉裁判官は補足意見で,以下のように述べています。

「この差別は,差別の対象となる権益が日本国籍という基本的な法的地位であり,‍差別の理由が憲法14条1項に差別禁止事由として掲げられている社会的身分及び‍性別であるから,それが同項に違反しないというためには,強度の正当化事由が必‍要であって,国籍法3条1項の立法目的が国にとり重要なものであり,この立法目‍的と,「父母の婚姻」により嫡出子たる身分を取得することを要求するという手段‍との間に,事実上の実質的関連性が存することが必要である。」

いわゆる厳格な合理性の基準(実質的関連性の基準)ですね。これを参考にして,本件も目的が重要であって,手段との間に実質的関連性が認められれば合理的区別として合憲,という判断基準を用いたいと思います。

※あくまで補足意見ということに注意が必要です。仮に択一で「国籍法違憲判決は厳格な合理性の基準を採用した」という肢があれば×ですのでそこは注意してみてください。

では,あてはめですね。まず,目的は重要といえることで問題なさそうですね。政治分野における女性の参画促進という目的は,我が国の政治分野における女性の参画状況は,国際的に見て後れていること,男女共同参画社会の実現に不可欠であることからすれば,重要な立法目的といえそうです。

では,手段はどうでしょう。

各都道府県の選出議員を男女各2名とする。3年ごとの選挙で選出される議員の数も,各都道府県につき男女各1名とすることで,参議院の選出議員の半分は女性が占めることができるので,目的実現に大いに役立つことは間違いないです。
ただ,現時点では男性の立候補者の方がはるかに多いですから,選出議員となった女性候補者を上回る得票数の男性候補者が落選する可能性は極めて高い制度といえます。他方で,選出議員数に性別枠を設けなくても,例えば政党が女性候補者をより積極的に擁立,推薦,支援することで,相当程度,上記目的実現に資すると考えられます。また,(こちらはやや専門的な考え方ですが)選挙制度を拘束名簿式にして,政党が男女交互名簿にする等の配慮をすれば,B案と同程度の効果があると思われます。

よって,実質的関連性が認められないと思います。あくまで私見です。反対の結論も十分に考えられますので,あてはめについては各自の意見を書き切れれば大丈夫だと思います。




最後に,C案です。こちらは,【基本】【応用】で分ける必要がないので,一気に解説します。

C案は全国区制を導入するので,一票の格差は問題になりませんが,参議院の立候補者は候補者推薦委員会によって推薦された者でなければならないという点に問題があると思われます。選出議員×3の人数の人材を候補者推薦委員会が選び,この中から国民による選挙により,参議院議員が選出されるということですね。


論点になる可能性としては

①候補者推薦委員会に推薦されたものしか選定できない点で,国民の公務員を選定する自由(15条1項)を侵害する。

②参議院議員になろうとする者の立候補の自由を侵害する。

③選挙人の意思と当選人の結果との間に他の意思が介在するとして,直接選挙を要請する15条3項に反し,違憲である。

の3点が挙げられると思います。

まず,①については国民の公務員を選定する自由(15条1項)を侵害しないと思います。全国区選挙ですから,国民は選出議員×3の候補者という多様な選択肢が用意されているといえ,国民の候補者選択の機会をより拡げるものですし,国民の公務員を選定する自由には立候補者を国民が選択する権利まで含まれていないと思うからです。

他方で,国民の選択肢が候補者推薦委員会の推薦を受けた者に限定する点で,国民の公務員を選定する自由(15条1項)を侵害するという立論も十分考えられます。

②についても,よほど候補者推薦委員会なる組織が中立性のない組織でない限り,推薦要件を設けたからといって立候補の自由を侵害するとまではいえないと思われます。選出議員×3の人数については立候補者になれる枠が確保されていますし,推薦要件が嫌なら衆議院選挙で立候補する途もあります。ですので,立候補の自由に対する侵害も認められないように思われます。

そこで,私は③の論点が最も重要なのではないかと考えます。

ではどのように検討するしたらよいでしょうか。

まず,提案者側は,B案の場合と同様の広範な立法裁量(43条,44条本文,47条)を前提に,C案の下でも国民の民意を十分に反映できるとして,公務を選定する自由を過度に制約せず,また直接選挙の要請に反するものでもないから,合理的な裁量権の範囲内として合憲である,などど反論するものと想定されます。


直接選挙の要請が問題となる論点としては,間接選挙・複選制の論点がありますよね。この論点を応用して,C案の合憲性を考えてみます。

まず,間接選挙・複選制についておさらいしますね。

間接選挙制:国民が一定の選挙委員を選挙し,その選挙委員が議員を選挙する制度

複選制:他の本来の職務のためにあらかじめ選挙されている者(ex.衆議院議員,地方議会議員)が議員を選挙する制度

問題点:選挙人の意思と選挙の当選人の決定との間に他の意思が介在するものとして,直接選挙の要請に反するのではないか。

間接選挙制について:選挙人の意思と選挙の当選人の決定との関係の間接性が強く,民意の反映が期待できないため直接選挙の要請に反する(通説)。

複選制について:直接選挙の要請に反することで争いなし。

以上と比べて,C案はどうでしょう?

国民は,限られた立候補者からしか選択できませんが,選出議員×3の人数の選択肢が確保されてますし,この中から国民が自らの意思により直接議員を選ぶのですから,選挙人の意思が選挙の当選人の決定との関係上,間接性が強いものとは認めがたく,民意の反映も期待できるので,直接選挙の要請に反するものといえないと考えることができます。

ですので,C案は合憲と考えます。

直接選挙の要請に反し違憲となる可能性もあると思いますが,うまい立論が思い浮かばなかったので,こうしてみました。合憲のほうが基本知識を応用できるし,書きやすいと思いました。

間接選挙,複選制以外でも,拘束名簿式比例代表制が直接選挙の要請に反しないとして合憲とした判例(最大判平11.11.10)の判旨も参考になるので,興味のある方はそちらも参照してみてください。


以上です。長文に付き合っていただき,ありがとうございます。

次回は今回の記事の内容を答案の形で示したいと思います。なるべく基本的な知識だけで簡潔にまとめた実践型答案と,今回の記事の内容をなるべく反映させた参考答案(と勝手に私が考えている答案)の二つの答案をアップしたいと思います。ちなみに僕は本番で憲法を選択していないので,再現答案とかはないのですが申しわけありません。

次回は2月6日に答案作成編を書きます。では皆さん,お元気で。
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